まずは食事について伺います。本番に向けて食事はどのように調整したのでしょうか?
こちらは2018年度のオリンピアの記事です。
オリンピア当日の調整方法について読んでいない方は下記の記事を是非読んでみて下さい。
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2018年9月に行われたオリンピアアマチュアでは多くの日本人選手が出場し、素晴らしい成績を残しました。
エドワード加藤さんもフィジークのクラスDで2位という成績を残しています。 2019年3月にはエドワードトレーニングという動画付きの本が出版されました。
そんなエドワード加藤さんに、オリンピアまでの食事やトレーニングの調整方法について伺いました。早速見ていきましょう!
まずは食事について伺います。本番に向けて食事はどのように調整したのでしょうか?
1ヶ月前と3日前という2つの期間に分けて、段階的に食事方法を変えていきました。
なるほど。それでは、2つの期間について順番に伺わせていただきます。まず1ヶ月前ですが、どのような食事を摂っていたのでしょうか?
一ヶ月前からは水分と塩分の調整を行いました。大会の3日前まで水は1日7リットル、塩分は一回の食事に対して約2gつまり1日で10gを摂取していました。
塩分を調整するために食事のメニューを変えていたということですか?
食事のメニューではなくて、味付けによって塩分量の調整をしていました。大会前であっても、減量がうまくいっている場合は普段通りの食事で大丈夫ですね。
サプリメントはどうされていましたか?
サプリメントは特に変えませんでした。トレーニング前はプレワークアウトとカーボドリンク、トレーニング中はBCAA,EAA,カーボドリンクを摂取していました。今までと変わっていないですね。
あまり変わっていないと。では、水分・塩分以外で特別に心がけてたことはありましたか?
あります。炭水化物を摂取するサイクルなんですけど、今回はローカーボ(糖質をあまりとらない日)を2日、ハイカーボ(糖質を多めにとる日)を1日、というのを繰り返していました。つまり3日に一回はハイカーボということです。具体的には、ローカーボの日は150gの炭水化物、ハイカーボの日は280gの炭水化物を摂取していました。
調整の中で有酸素運動はしていたのですか?
今までの大会で有酸素はしてこなかったのですが、今回は取り入れました。
これまでは有酸素をやってしまうと筋肉が落ちたり筋分解したりするイメージがあったので、アーノルドクラシック(編集部注:ボディビルの大会の1つ)ではできるだけ食事で体重を落とすようにしていました。ただ今回は山岸さんの指導があったこともあり、有酸素を行いました。
有酸素はどのようなスケジュールで行ったのですか?
朝に何も食べない状態(ファスティングカーディオ)で有酸素を行いました。大体一ヶ月前から行いましたね。できるだけ傾斜をつけて、早歩きくらいのスピードで、大体45分から1時間行う。お腹に何も入っていない状態で有酸素をするとその後のトレーニングで脂肪が燃えやすいんですよね。
毎朝食べる前ですか…。相当きついですね。
もちろんスケジュールによっては朝出来ないこともあります。ただそういう場合、朝できなかったからといって夜やる、ということはありませんでした。やるときは必ず、朝何も食べていない状態で行うように言われていました。
有酸素は本番まで続けたのですか?
オリンピアへは10日前くらいに到着したのですが、体を見てもらった時にもう有酸素はやる必要ないと言われましたね。その時点で絞りきれていたので。ただ同じくオリンピアに出場した竹本さんは一日二回していたので、有酸素を行うペースはコンディション次第だと思います。
ではここからは、いよいよ大会3日前からの調整について伺いたいと思います。3日前からはどのような食事をとったのですか?
3日前からは毎日ハイカーボで炭水化物をがんがん摂っていましたね。ハイカーボ280gを摂っても次の日体重が落ちていたので、大会の3日前からは死ぬほどカーボを摂取しました。1200gですね。1時間おきに100gの炭水化物を摂取していました。ホテルから出られなかったです。
1時間おきに食事となると大変な量ですね。どのように炭水化物をとっていたのですか?
お餅・干し芋・あんこを摂取していました。お餅を100g食べるとなるとお腹に入らないので、あんこやメープルシロップを摂って調整していました。飽きたら干し芋も交えて1時間おきに摂取していましたね。あとはライスケーキも食べましたが、食べすぎて口が切れまくって、最終的には食べられなくなりました。
相当ハードなんですね。他のフィジーカーの方々も同じような方法をとっているんですか?
今回IFBB PROになった竹本くんは、自分とは全然メニューが違いました。彼はカーボをほとんど摂取していませんでしたね。竹本くんのハイカーボは自分のローカーボよりも少なかったと思います。調整は人それぞれです。
炭水化物を相当とっていたとのことでしたが、タンパク質はどうでしたか?
タンパク質は主に牛肉を50gを摂取していましたが、ホテルに冷蔵庫がなく、最終的にはお店で味付けなしの肉を作ってもらっていたという感じです。最後の2日間はカーボだけでした。本来はもっと摂るべきだったと思います。
水分と塩分は3日前からはどうしていましたか?
僕の場合、とる量を1日ごとに半分にしていきました。水分は3日前に7リットル、2日前に3.5リットル、1日前に1リットルという感じです。塩分は前日にゼロにしたかったので、10g→5g→0gという風に調整しました。
ありがとうございます。かなりストイックに計算されているんですね。先ほどお名前が出ましたが、山岸さん(※アメリカ在住)には食事方法などをオンラインで指導してもらっていたのですか?
そうですね。山岸さんに組んでもらった調整方法に従って、毎日フロントポーズ・バックポーズの写真を取っていました。その変化を見ることで今後どうしていくかを決めていくという感じです。一ヶ月前から指導していただいて、短期間でもこんなに変わるんだというぐらい変化があったので、三ヶ月前からやっていればもっと変わったのかなとも思っています。
山岸さんの指導を受けて「今までは適当すぎた」とインスタグラムに書かれていましたが、具体的にはどのような意味だったのですか?
今までは数字できちんと計算をしておらず、曖昧なプランで調整を行なっていたということです。一方、今回のオリンピアは食事の時間や一回で食べる量を徹底してプランニングすることで、安心感や使命感が持て、良いモチベーションになりました。
例えばごはんの量を大雑把に決めるのではなく、150gなら150gと具体的な数字で管理するようになったということですか?
そうですね。これまでは調整を具体的にプランニングできていませんでした。例えばご飯の量を200g以下ならなんでも良いみたいにしていたので。そのせいでトレーニングの質が落ちていたと思います。炭水化物をどれくらい摂らなければ体重が落ちるかといった基本的なことを分かっていなかったし、それでもある程度のコンディショニングが維持できていたので調べようともしませんでした。
ここまでは主に食事面での調整について伺ってきましたが、ここからは実際のトレーニングについて伺って行こうと思います。
一ヶ月前のトレーニングは普段と変化がありましたか?
大会10日前くらいまで変化はほとんどなかったですね。大会前になると体重を絞るのでどうしても扱う重量が落ちてしまうんですが、僕の場合はむしろ上がったかもしれません。大会を見てもらえばわかるように今回はサイズも落ちませんでした。
やはりトレーニングは変わらない方が良いのでしょうか?
そうですね。やっぱり一番いいのはトレーニングの内容が変わらないことだと思います。筋力が変わらないということは筋量も変わらないということなので。今までのトレーニング内容と変わらずに大会の1週間前まで同じ重量を扱うことができるということは、体重を絞ったとしてもボリュームがキープできているということです。一番トレーニーが苦戦しているのはここだと思いますね。
先ほどちらりと出ましたが、大会10日前からはどのようなトレーニングを行ったのですか?
10日前くらいからはトレーニングの内容を変えました。大会までに怪我をしないためです。高レップにしたりジャイアンントセットを取り入れたりすることで、安全にある程度負荷をかけれるようにしました。
この時期からは山岸さんに実際に会ってトレーニングをしていたとのことですが、いかがでしたか?
その時は高重量を扱うというよりもジャイアントセットで一気に7種目を行いました。例えば胸の時は最初にケーブルから始めて、マシンのチェストプレス、ダンベルフライ、ベンチプレス、インクラインベンチプレスなど大体7種目ぐらいを一気に行い、それを2セット行いました。インターバルなしで毎種目10レップですね。
高重量はあまり扱わなかったとのことですが、具体的にはどれくらいの重量を行っていたのですか?
ベンチプレスだと60kgぐらいでした。ダンベルフライだと15、16kgで行っていましたね。みんなでも扱えるような種目で、ノンストップでかつしっかりとしたフォームで行いました。
一日何部位のトレーニングを行っていたのですか?
1部位ですね。ただ大会の3、4日前からは2部位行っていました。胸と背中、肩と腕といった感じです。
大会まで毎日のトレーニングを続けたのですか?
前日はトレーニングをしなかったですね。
いかがでしたでしょうか?日本人トップレベルのフィジークの選手がどのように大会まで準備しているのか少し垣間見ることができました。本記事ではオリンピア前日までの調整方法について書いてきましたが、オリンピア当日の調整方法についての記事も公開されています。
参考:効果的な食事方法について。
エドワード加藤さんについてもっと知りたい方エドワードトレーニングをぜひお読み下さい!
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