力こぶの筋肉である上腕二頭筋は、ダンベルカールなどで鍛えることが一般的です。その中でもスピネイトカールは肘の屈曲に加えて前腕の回外(外向きにひねる)運動を行うことで、他のカール系種目よりも強力な刺激を上腕二頭筋に与えることができます。少し動きが独特なので、正しいやり方を覚えて実践してみましょう。
カール系の種目についてまとめた記事はこちら。
上腕二頭筋は上腕(二の腕)の表側に位置する、力こぶの筋肉です。長頭(外側の筋肉)と短頭(内側の筋肉)に分かれています。力こぶを主に形成するのが長頭、上腕二頭筋のサイズ感を増すのが短頭と考えてください。
カール系の種目では、上腕二頭筋に加えて上腕筋や腕橈骨筋という筋肉にも刺激を与えることができます。
上腕筋は上腕二頭筋の深部にあり、上腕骨に付着する形でついている筋肉です。上腕骨の基部付近と尺骨(前腕の小指側の骨)をつなぐように位置しており、肘関節を曲げる働きがあります。上腕筋は二頭筋の深層部にあるため、ここを鍛えると腕によりボリュームを出すことができます。
一方、腕橈骨筋は前腕前面の外側(親指側)に位置する筋肉です。肘関節の屈曲動作を行います。また肘を曲げた状態で前腕を外側へ回す動きにも関わります。腕橈骨筋は前腕の筋肉であるため、ここを鍛えるとたくましい前腕を手に入れることができます。
腕橈骨筋をメインで鍛えたいという方には、ハンマーカールをオススメします。
上腕二頭筋は、肘関節の屈曲運動と前腕の回外(外向きにひねる)運動に関わる筋肉です。ダンベルカールなど多くのカール系種目は肘の屈曲運動です。これだけでも上腕二頭筋に刺激を与えることはできますが、前腕の回外運動トレーニングも取り入れることで、更に上腕二頭筋に強い刺激を与えることができます。
スピネイトカールは、肘の屈曲と前腕の回外の両方を含んだ種目なので、上腕二頭筋のトレーニングにぜひ組み入れたい種目です。
筋トレを行う際は、筋断面積・筋力・筋持久力のどれをアップさせたいかによって、必要な負荷・回数・セット数が異なると言われています。一般的に、筋肥大を狙うなら8〜12回で限界となるような負荷、筋力アップを狙うなら1〜5回で限界となるような負荷、筋持久力アップを狙うなら15〜20回で限界となるような負荷に設定すると良いというのが定説です。
定説に反して、上腕二頭筋のトレーニングでは、20回の高レップを行った群が8回のレップで行った群よりも筋肥大効果が得られたという実験結果があります。(なお、筋力の増強を狙うなら高負荷低回数の方が適切であることも示されています)
一方で、低負荷高回数のトレーニングのみを続けていると筋力が低下する可能性も指摘されています。扱える負荷を大きくしていくことも必要なので、やはり高負荷トレーニングを取り入れることも重要です。
したがって実際に上腕二頭筋を鍛える際は、体力に余裕のある前半に高負荷低回数(ex. 5回で限界となるような重量)のセットを行い、後半は低負荷高回数(ex. 20回で限界となる重量)のセットで追い込むと良いでしょう。フィジークトレーナーの林幸希選手もこの方法を取り入れているそうです。
上腕二頭筋を鍛える際には、何よりもネガティブ動作の刺激が大事になります。ダンベルカール系の種目でいうと、ダンベルを上げる動作をポジティブ、下げる動作をネガティブと言います。初心者の方にはダンベルを上げることに集中してしまい、このネガティブの刺激をないがしろにしてしまっている人もいますが、実は時間をかけてダンベルを下ろすことは筋肥大にとって重要なのです。したがってスピネイトカールを行う際も、3秒ほどの時間を使ってゆっくりダンベルを下ろすことへの意識を持つようにしてください。
ネガティブ動作(エキセントリック)について詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
これまでスピネイトカールのやり方について解説してきました。動きは少し独特ですが、正しいやり方をマスターすれば効果的に腕全体を鍛えることができます。日々のトレーニングに組み入れて力強い腕を作っていきましょう。